フラックス洗浄
フラックス洗浄について
サマリー
・成分の違いから、ロジン系フラックスと水溶性フラックスに大別される。
フラックスとは?
洗浄対象となるフラックスは、主にアビエチン酸を主成分とするロジンをベース樹脂とするロジン系フラックスと、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等に代表される水溶性ポリマーをベース樹脂とする水溶性フラックスの二つに分類されます。更にロジン系フラックスは、ソルダペースト用フラックスとポストフラックス用フラックスに分類されますが、本稿では最も洗浄ニーズが多いソルダペースト用フラックスに関して説明します。
ロジン系フラックスに関して
ロジン系フラックスはベース樹脂となるロジンに、有機溶剤、はんだ付け時にはんだの酸化膜を効果的に取り除くためのカルボン酸、アミンといった活性剤、更に粘度調整剤であるチクソ剤を加えて構成されます(図1)。このフラックスをはんだ粉末と混合攪拌することにより、ソルダペーストが得られます(図2)。我々が日頃用いている電子機器は、このソルダペーストではんだ付けされているものが大半を占めます。
ロジン系フラックスではロジン自体が絶縁物であるため、従来の白物家電、車載用の電子基板では洗浄は不要でしたが、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末、車載用途の一部の基板では、近年、高い電気的信頼性やパーティクル除去性が求められており、洗浄を行うケースが増えてきています。
図1. ロジン系フラックスの成分
図2. ソルダペーストができるまで
水溶性フラックスに関して
水溶性フラックスでは、ベース樹脂にポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性ポリマーが用いられています(図3)。水溶性フラックスはロジン系フラックスとは異なり、ベース樹脂そのものが吸湿し電子基板の電気的信頼性に悪影響を与える可能性があるため、はんだ付け後発生したフラックスは速やかに除去する必要があります(図4)。
図3. 水溶性フラックスの成分
図4. 各種フラックスの外観