なぜフラックス洗浄が必要なのか?

なぜフラックス洗浄が必要なのか?

サマリー

・フラックス残渣は、マイグレーション、高周波特性の悪化、樹脂封止の不具合などの原因となる。
・一部の半導体パッケージやディスクリートデバイス、パワーモジュール、精密光学デバイス、などはフラックス洗浄工程が必要とされる。

フラックス残渣が招く不具合

はんだ付け後のフラックス残渣が品質上の問題となるかは、対象となる実装製品の要求特定やその後工程により異なります。フラックス残渣が招く代表的な不具合としては、マイグレーション、高周波特性の悪化など電気的信頼性の低下や、樹脂モールド工程での不濡れ、硬化不良、密着不良などが挙げられます。

 

水溶性フラックスを用いた実装の場合は、水溶性フラックス残渣はイオン系成分を多く含むため絶縁性に通り洗浄が必須とされます。通常は水洗により水溶性フラックス残渣を除去しますが、実際には水洗では十分な洗浄品質が得られず、水溶性フラックスの除去に特化したが水溶性フラックス用洗浄剤が用いられる例も少なくありません。

 

不具合 要因
絶縁性の悪化 フラックス残渣が導電性を持つ場合、リーク電流が発生する。
マイグレーション 電気的、化学的また熱的要因が加わる事により電極金属イオンが溶出・還元され電気回路の短絡を起こす現象。フラックス残渣によっても誘起される。
高周波特性の悪化 高周波回路上に残るフラックス残渣は誘電率が異なるため高周波特性に影響を及ぼす。
封止樹脂の不濡れ、密着不良、硬化阻害 はんだ付け部を樹脂封止行う場合、フラックス残渣が封止樹脂の、弾きやボイド、硬化反応を阻害する。
パーティクル汚染 精密光学デバイスにおいては、フラックス残渣がパーティクルの汚染源となり特に問題視される。
真空度の悪化 高真空に密封されるデバイスにおいては、フラックス残渣が真空度の低下、汚染原因となる。

フラックス洗浄が必要な分野、対象

近年では、無洗浄ソルダペーストの性能が向上し、パソコンやタブレットのマザーボード、多くの車載実装基板などは、フラックス洗浄工程を必要としないケースが多くなりました。一方、樹脂モールドを伴うディスクリートデバイスや半導体パッケージ、パワーモジュール、精密光学デバイス、高信頼性を要求する航空宇宙関連の電子基板、などはフラックス洗浄工程が必要とされています。

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