産業用洗浄剤の分類

産業用洗浄剤の分類

数ある洗浄方法の中でも液体タイプの洗浄剤を使用する方法が大部分を占めており、その洗浄剤の選択が洗浄性を決定する上で最も重要な要素となります。洗浄剤は、非水系洗浄剤、水系洗浄剤、準水系洗浄剤に分類されます。

サマリー

・産業用洗浄剤は液体タイプが多く、用途に応じた洗浄剤を選ぶことが重要。
・準水系洗剤は洗浄性に優れ、安全性が高いため主流となっている。

非水系洗浄剤について

非水系洗浄剤には、フッ素系洗浄剤、塩素(臭素系)洗浄剤、炭化水素系洗浄剤、アルコール類などがあります。フッ素系洗浄剤のうち特定フロンに関しては1987年に「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が制定されてからは規制対象となり、現在では地球温暖化係数(GWP)の低い溶剤のみ使用が認められている状況です。また、塩素(臭素系)洗浄剤や炭化水素系洗浄剤に関しても、毒性や環境に対する負荷が大きいことから使用が制限されつつあります。炭化水素系洗浄剤、アルコール類は沸点の低さから蒸留再生が可能であり、比較的洗浄性も優れる反面、引火点が非常に低いため洗浄機の防爆構造や消防法に則した管理が必須となります。

水系、準水系洗浄剤について

一方、不燃性の水系洗浄剤も産業用として広く使用されていますが、その表面張力の高さゆえに小型化、高密度化された電子部品の隙間に入り難く、更には高極性であるためフラックス等の油性汚れの洗浄には適さないという難点があります。従って、近年では水性汚れと油性汚れの両方に適した「グリコールエーテル」を用いた準水系洗浄剤が主流となってきています。準水系洗浄剤は、金属汚れ(腐食、錆びなど)を除き、フラックス(ロジン)、油脂、ワックス、パーティクル、イオン等のあらゆる汚れに対する洗浄性に優れ、なおかつ毒性も低いため産業用洗浄剤としては好適です。

 

表. 洗浄剤の分類

洗浄システム 汚れの分類
油脂・ロジン ワックス・変質油 粒子 イオン 金属 必要対策
非水系 不燃性 フッ素系炭化水素 × × × 環境対策
塩素系炭化水素 × × ×
可燃性 アルコール類 × × 防火対策
炭化水素類 × × ×
水系 不燃性 エマルジョン系 ×
× ×
準水系 不燃性 テルペン系
ピロリドン系
×
グリコールエーテル系 ×

 

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